初めはあまりピンとこなかった。
「徳島県に『神山』という面白い地域があるので、一度一緒に行きませんか?」徳島県庁の新居徹也氏(現政策創造部東京本部・副本部長)に、そう誘われたのは2011年夏のことだった。
(中略)
最終的に『日経ビジネス』で1ページの原稿を書いたものの、正直にいうと、「ほかにもありそうなちょっと変わった町」という感想しか持たなかった。ところが、神山はその後、大きく動いていく。自らの不明を恥じたのは言うまでもない。
(あとがき)
徳島県の人口6,000人ほどの神山。高齢化と過疎化に悩むどこにでもある田舎町。しかし神山はIT企業のサテライトオフィスやアーティスト、クリエイターの移住に湧く。その影には「日本の田舎をステキに変える!」地元NPOグリーンバレーの働きがあった。
人口推移を試算し、コミュニティの機能を維持する(小中学校を維持する)ためには、親二人子二人の家族を毎年5世帯を受け入れることを目標としたり、労働環境がないので手に職のある自営業者の移住を優先させるなど、政策的な面は他の地域も参考になる。ひと世帯、ひと商店、ひと企業を増えていく様子は、まえがきにあるようにSimCityのような小さなダイナミックさがある。
移住者の「自分語り」のヒヤリング主体の記事はどこまでも客観性はなく、神山がIT企業やアーティスト、クリエイターを引きつける本当の理由(があるのか)はわからなかったので、ここをターゲットとした手法が他の地域で応用が利くとも思えないけど、ひとつの短期的な事例としては興味深かった。
最近地方の再生にばかり興味があるのは何故だろうね。